タタラ 古代のスーパーテクノロジー


武士の魂、日本刀は日本のものづくりの象徴である。日本神話にあるヤマトタケルの神剣「草那芸剣(くさなぎのつるぎ)」などスーパーな力を発する剣は有名だ。その日本刀の材料となる鉄が玉鋼(タマガネ)である。この玉鋼は、古来からの製鉄法「タタラ」で作り出される。宮崎駿の「もののけ姫」に登場する三日三晩ふいごを足で踏むあのタタラである。炉のなかに砂鉄を入れ、多量の木材を燃やし、ふいごで風をおこし高熱を維持する。砂鉄量の2割程度の「ズク」といわれる純度の低い鉄と、少量の高純度の玉鋼ができる。この玉鋼が日本刀に使われているのだ。古来からタタラ製鉄の有名な生産地は、奥出雲地方である。奥出雲では現代でもわずかながらタタラが継続されているようだ。この地には、タタラのカミを祀る金屋子神社があり現代の製鉄メーカーも神社の氏子なのだ。
技術にカミが宿れば、製品にもカミが宿る。これを使う人にもカミが宿るのである。